chapter8: 白龍の神子 -前篇-



遙かなる時空を超えすぎた神子――― 春日望美。


現代から源氏と平氏が争う世界へと飛ばされ
時空を超える力で行き来している間に
源平合戦の折再開を果たした幼馴染と
再び時空の狭間ではぐれてしまい、そんな彼を日々探しておりました。








ぱかっ

 「どこに居るの?将臣くん」







かぽっ

 「将臣君、ここかな??」








ぱたっ

 「出てきてよ将臣くん」











 「将臣くーーーーーん」






ざばーーーーん











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 幼馴染の彼を探し続けて数日たったある日。



寝起きしているテントから、目が覚めて外へ出ると、
目の前をよく見知った顔の青年が通り過ぎようとしていました。







青年 「なんだ?藁か?原始的だな…」

後ろから見ればまるで太陽のような爆発っぷりの御髪。

 「あんな髪型二人といないよ。間違いないわ!!」

そう確信して、望美は走り出しました。




 「将臣君!!探したよ!!無事だったんだね!?」
 「まあな。お前は元気にしてたか?……なんだその格好は」
 「コンビニでバイトしてるんだ。結構生活も大変なんだよ。」
 「そっか。苦労してんだな…」

念願の再開…!
将臣をシム京に降臨さしてまもなく、こうも都合よく通りかかるとは思いませんでした。
テレポーターで召喚しようと試みてたのに。









 「わわわ。将臣君がいるのに、お菓子が散らかったままだよ。見られる前に早く片付けなきゃ…」








食事でもてなします。

 「……お前さ、なんか俺より肩幅広くねぇか?」
 「ええっ!??気のせいだよ」
 「俺…小さく見えないか?」
 「気のせいだってば」
 「色調が見せる目の錯覚と思いたいが」








 「将臣君、モリモリ食べてね」
 「…俺を手前アングルに持ってきても、やっぱりさ、ちっこくねぇか?」
 「気のせいだってば」

なんだか小さいような気がするのよねぇ…。
結構がっしり目に作ったはずなのに。うーん…。







 「じゃ、遠慮なくいただくぜ」

二皿目。












 「ん…?」

厠へ行って来た帰りの将臣君。
戸口の前にいるのは、頼久と頼忠です。
電話で頼久を招待したら、頼忠もくっ付いてきました。








しかし、将臣君はもうおねむ。

 「悪いが疲れてんだ。先に寝かせてもらうぜ。」












 「こんばんは、頼久さん。夜分おそくにすみません」










まるで自分の家のように寛ぐ天の青龍の頼ズたち。
将臣君のために、たんと作っておいた食事に手をつけます。

 「望美殿が、会わせたい方がいるとおっしゃっていた」
 「ああ。何でも望美殿は龍神の神子殿らしいな。」
 「やはり…。まばゆい神気、ただのお方ではないと思ってはいたが、よもや神子殿であったとは…。時代は違えど、神子殿は神子殿。我らがお守りし、仕えることに相違あるまい。」
 「然るに、『会わせたい者』とは『龍神の神子』に縁深き者…、もしや望美殿の時代の八葉ではないだろうか」
 「ふむ…なるほどな。」









望美ちゃんは客をもてなす間もなく、バイトの時間です。