chapter5: お友達2 -後篇-
「友雅さんのそっくりさんがいる!」
「そっくり?私がこの彼とかい?似ていないよ」
「そうだよ。まるで違うよ。一緒にされてはあまりいい気分がしないね」
「それはこちらの台詞だが。まぁ、私は海のように懐が広いからね。気にしないよ」
「『懐』…ね。」
「…その含みのある言い方が些か気になるのだが」
「おや、懐が広いので気にはしないのだろう?」
「(この不穏な空気は何かしら…。)」
「(気にすんな…。早く食っちまおうぜ。)」
「翡翠殿。いらしていたのですね」
「ああ。白菊を迎えにね」
「クサイ比喩も友雅さんとそっくりなんだねー」
「………
」
翡翠さんはどこでもお盛んです。
「帰るまでは待ちきれない」
「翡翠殿…んんっ」
神子がやってきてもまだやってる。
「ん…っん…」
「はぁはぁ…翡翠殿…
」
「口付けだけでは物足りないという顔をしているね」
「………」
「…こちらへおいで」
頼忠さんは人目の届かないところへ、翡翠さんに連れて行かれました。
「(TPO無視でいつでも盛んなのも友雅さんとそっくりよね)」
夜
「なんだ?!」
みんな突然の物音に目を覚まします。
お泊りしていた翡翠さんもお目覚めです。
そんななか、頼久さんだけは友雅殿の夢を見ながらまだお休み中。
武士なのに……。
熊が餌を求めて人里まで出没。
最近は彼方此方で熊による被害が多発中ですからね。気をつけないと。
武士は寝ている場合ではありません。
朝です。
「友雅殿、おはようございます。」
「おはよう。夜通し見回りしていたのだって?お疲れさま」
周りから袖で頼久さんを隠すようにしながら、ちゅぅ。
「………」
友雅さんと頼久さんのキスシーンに興奮した翡翠さん。
負けじと頼久さんにちゅうを仕掛けます。
「気分を変えて私ともどうだい?」
職業出世のための、家族友達増員計画で翡翠さんも頼久さんの『魅了』で落とされてしまっているので、このようなことに。
「………
」
ばちん!
「帰れ
」
追い出された翡翠さん。海へと帰ってゆきました。
「……」 くんくん
「……臭うの……?」
「うっ…!?」
「あの男が臭かったのだね。まったくとんだ禍害に穢されてしまったよ」
「…………
」
「…翡翠殿はどちらへ……?」
「もう帰ったよ」
「ん…っ友雅殿……こ…ここでは…」
「早く穢れを祓わないと」