chapter6: 高原リゾート -前篇-
休暇をとって高原のリゾート地へと遊びにやってきた平安家族。
「鷹通、そんな格好で寒くないかい…?」
「寒いに決まっています」
レンタルブースの前では先ほどからずっと待っているのに、順番を横取りされ続けている頼久さん。
前に出ようとすると、他の人が入っていっちゃうのです。
頼久さんが借りたがっていたものを代わりに友雅さんが借りてあげました。
「頼久、こちらで遊ぼう。おいで」
「寒いだろう?」
「いえ、平気です」
「流石だねぇ、鍛え方が違うのかな」
「いえ…鷹通殿は褌一丁でございました。文官でありながらあのようにお鍛えなさるとは、感服いたします。」
「いや…あれは…いったいなんなのだろうね…」
「私も見習わねば」
「裸は止めなさいね」
雪ダルマがどんどん形になってゆきます。
「ふふ、おしゃれだろう?」
「その首巻のお色は、友雅殿の御髪の色に似ていらっしゃいますね」
「帽子もね」
友雅殿、雪ダルマの何に興奮したのかしら…
完成直後、頼久さんに迫ります。
「頼久、こんなに冷たくなって…、すぐに暖めてあげるから」
「んっ…」
なぜ客がいるのに閉めるのか…。
宿泊用のイグルーを借りたいのに借りさせてもらえない鷹通たち。
睡魔が限界です。
何十回かトライして、ようやく借りることが出来ました。
さっそく潜り込む天真くん。
ランニングシャツですが寒くないのかな…。
「他の方は…?」
「もう眠ったみたいだよ。」
頼久もおねむ。
「………こんな小さな所に男5人かい…?少し…ねぇ…」
「頼久だけだったらむしろ狭くても大歓迎だがね。」
皆が寝静まった真夜中。
むくり。
睡眠十分の頼久さんが起き出してきました。
友雅殿も次いで起きて来ました。。
観光客が人っ子一人いない真夜中の雪原で、黙々と雪ダルマを作る男二人…。
そろそろ夜明けが近いです。