chapter13: 永泉様の失恋 -前篇-






子供頼久を呼んだら、保護者として源兄もくっついてきました。
子供が一人で出歩くには遅い時間だからでしょうか。
心配性の兄上です。






 「兄上、ようこそお越しくださいました」
 「ああ、頼久。元気にしていたか?」
 「はい。兄上もお変わりなく。」


子供頼久にも挨拶をしようとしたら



「子供を迎えに来た。もう寝かさないと」

そう言って、来た早々帰ってしまいました。

 「………………」

来られないのなら、誘ったときに断ればいいのに、
自らやって来て直接断りを入れるとは、律儀な男です。









けども、テレボーターでちび頼だけを強制召喚!
テレポーターなら深夜であろうと、学校へ行っている時間だろうと
時も場合も選ばないのです。









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 「兄上、いまごろはどうされているのかな」

ちび頼がテレポーターで平安家族に強制召喚されて、2・3日が経ちました。

兄上恋しさか、なぜか水上に立つちび頼。
自宅がある方角を見つめます。
何度も兄上はちび頼を迎えに来てましたが、返していません。

 「寂しいのか?」
 「いいえ!寂しくないです!」






 「男なら泣くな」

男の厳しさを教えるための寒中水泳です。
兄上に代わって鍛えてあげてます。










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ある日。




飼っていた鳥が…!!










原因は………


















餓死!!



 「鳥よ……すまぬ…っ」

鳥に詫びる頼久さん。

 「私は……鳥すらも守れないのか…っ!!」













 「ああ…小さな命が………。わたくしは経を唱えることしかできませんが…どうか安らかに………」

ちょうど仕事から帰ってきたみんなも悲しみに呉れています。